好きなのに
「わかった……」

倫子は溜め息をつきながらも、内心は嬉しかった。

そのまま家を出て、大翔の家のインターホンを鳴らした。

大翔が階段を下りて来る音が、玄関の前にいる倫子の耳に届く。


大翔が玄関のドアを開けた。

「なんだ、お前か」

大翔の第一声に、倫子はムスッとした。

「なによ、それ。イタリアのお土産がいらないわけ?」

「いいえー。すみません。有り難くちょうだいしますっ!」

大翔の口調に倫子が笑う。

「なぁ、俺の友達が一人来てるんだけど、お前もちょっと上がんない?」
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