赤い狼 壱
お、元気だな。つーかお前、昨日入った新人じゃねぇか。強くなるために頑張れよ。
「よぉ。」
期待してるぞ、という意味を込めて挨拶を返す。
するとソイツは驚いた表情をした後、嬉しそうに笑った。
可愛いな、おい。
そういやぁ俺も一代目の総長に挨拶を返されただけで舞い上がってたな。思えば一生懸命青春してたな、あん時の俺は。
フッと微かに笑いを溢す。
まぁ一代目総長は実際、関わってみるとだいぶ印象が違ぇけどな。
懐かしい思い出に目を細めていると雷太(らいた)が駆け寄ってきた。
雷太っつーのはこの族に二年前に入ってきた奴。
コイツ、俺の家に住んでる愛犬にそっくりでしょうがねぇ。可愛く見えるんだよな。
よぉ、雷太。と親しげにその名前を呼ぶ。雷太は嬉しそうにキラキラと瞳を輝かせながら俺の顔を見てくる。
どうした?ついに念願の彼女でも出来たのか?
良かったな、と祝福の言葉を発しようとする。だけど違ったようだ。
「もしかしてその女、隼人さんの彼女っスかっ!?」
キラキラ、キラキラと輝く瞳を俺と稚春に向ける雷太。
………そっちか。