赤い狼 壱
「隼人さん、意地悪ですね。」
「んだよ。見てたのかよ。」
まだ笑いが止まらねぇ俺を見ながら運転手が車を発進させる。
「ずいぶんと気に入った様子でしたけど…。」
「面白ぇじゃん、アイツ。」
「えぇ、人を家まで送ってキャンディー貰ったの初めてです。」
「いい初体験だな。」
言い方がやらしいですよ、と注意を受けながら携帯を弄る。
消去っと。
「何してらっしゃるんですか?」
「あ?女のリスト消去。」
「……まさか、本気なんですか?」
驚きを含んだ声に画面から運転手へと顔を向ける。
「なんか、手に入れてぇんだよな。」
「本気で?」
「あぁ、珍しく。」
「隼人さんが、ですか?」
質問を投げ掛けてくる運転手に微かに笑う。あぁ。この俺が、だぞ。
「いい顔してますよ、今の隼人さん。」
「お前の言い方もエロいっつーの。」
とにかくお似合いだと思います、と笑って言ってくる運転手に、本当にそんな事思ってんのか?と
《SINE》に着くまでの間、笑い合いながら話をした。
隼人side~end~