赤い狼 壱





これからどうしようか、と頭をひねる。



うーん。具合が悪かったので保健室で休んでました。



…これじゃあ、お前どんだけ休んでんだ!早退しろよ!って絶対に言われる。



え?知らなかったんですか?私、今までずっと朝から居たじゃないですか。



…お前ナメてんのかって言われるな、絶対に。




教室に行く間、全部の脳ミソを使って考える。だけど、これといっていい案は浮かんでこなかった。



……しょうがない。実と香に相談してみるか。あの二人なら何かいい案を出してくれるだろう。



遅刻の言い訳を考えるのを完全に人任せにした私は教室の入り口で立ち止まった。



今は丁度、五時限目が始まる頃。先生が厳しい人か優しい人かで私の人生は決まる。



ゴクリと唾を呑んで、そろーと中を覗くと先生は寝ていた。ラッキー!



生徒を見ると今日はプリント授業だったみたいだ。あぁ、だから先生寝てるんだ。




ホッとしながらも一応、気付かれたら厄介だから音を立てないようにゆっくりとドアを開ける。




すると、微かに鳴ったドアの開く音に反応した実が私の顔を見て目を見開いた。




おぉ!愛しの実様!!




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