赤い狼 壱
――ドンッ――
「痛っ。」
「どこ見て歩いてんのよっ!気を付けなさいよっ!」
ギャル女が肩にぶつかってきた。
…文句言います?今のはあんたが悪いでしょ。そっちからぶつかって来たんじゃん。
今日ついてないなー。と額に手を添えながら一つ、ため息をつく。
なんか今日は厄日…?
もう家に帰りたい。切実に。マジで。
早く帰ろうと足を速めるけど一向に減らない人、人、人。
何で今日はこんなに人が多いんだ。しかももう普通に下校する生徒は帰ってるはずでしょ。今の時間帯は。
鞄から携帯を出して時間を見る。…5時。絶対いつもだったら皆は帰ってるはずだ。
人を掻き分けながら校門に速足で行く。もう帰りたいんだ。邪魔するな。
そう思いながら一心不乱に人を掻き分けていくけど思うように進まない。それに、尋常じゃない人だかりができているのは明らかに校門の前。
何故。
頭にハテナマークが浮かぶ。
と、
「邪魔だブス。消え失せろ。」
なんだか聞き覚えのある声がした。