赤い狼 壱
っていうか本当に何で私ら注目されてんの。私の頭に鳩か何か止まってるんだろうか。とっさに頭に手をやる。何もない。
頭には何もないのにまだ視線を感じる。言いたいことあるんなら言ってくればい……い………「連っ!!!」
「うおっ!?」
恥ずかしすぎて死にそうだ。
ガッと連の掴みやすい所を掴む。ぐっ、と苦しそうな声が聞こえたけど今はそれどころじゃない。
「私、連にお姫様抱っこされてるんですけど!!」
「え。今、さら?」
私に首を絞められて苦しいはずなのに喋る連に尊敬の眼差しを送る。ツッコミ魂があって素晴らしいね!ってそうじゃなくて!
ヤンキーズの視線が痛いんですが。
「ねぇ連?」
「あ?」
「降ろして。」
「そ、の前に、離せ…。」
もう無理だ、と言わんばかりに私に睨みをきかせてくる連。
掴み心地がよくてすっかり忘れてたよ。
「連。」
「あ゙?」
「………。」
「うん、やっぱり何もないや。」
もう一度、降ろせと言おうと思ったけど私が首を絞めすぎたせいなのか、声と目があまりにも怖かった連に口を封じた。
さすがに命はまだ捨てたくありません。