赤い狼 壱





ソワソワソワソワ。



ソワソワソワソワ。





「連、落ち着け。」



「安心しろ。落ち着いてる。」



「………。」





棗の言葉にいつもの感じで答える。だけど、棗は納得がいってないらしい。ジッと俺を見てくる。



その間も俺はゲームなんて放ってソワソワソワソワ。部屋の隅から隅までを行ったり来たりしている。


落ち着いてる、と言ったものの本当は全く落ち着いてない。気になる、すごく。




頭をグシャグシャと掻き乱す。どうすればこの衝動を抑えれるんだろうか。誰か知ってんなら教えてくれ。




「連。」



「あ?」



「落ち着け。」



「落ち着ける方法教えろ。」




さっきと同じように瞬時に答えた俺に棗が「さっきと答え違うよ。」呆れたように眉を下げる。分かってるし。さっきは強がってたんだよ。悪いかこのヤロー。




なんとなく棗の言葉が癪に障ってフッと鼻で笑う。すると、棗に鼻で笑い返された。ふざけんな。




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