赤い狼 壱





本当になんなんだ今日は。ゲームしても集中できねぇし、雑魚にも負けてっし…。こんなんじゃラスボスなんて倒せやしねぇ。




イライラしながらテレビの前に座ってコントローラーを手にしてみるけど、結局落ち着かなくて手放した。





「………だぁ!!!」



「急に叫ぶなよ。ビックリするじゃーん。」



「お前の喋り方イライラする。普通に喋れや。」



「だってイライラするように喋ってるんだもーん。」




キャハハと笑う奏にガン飛ばす。わざとな間延びた喋り方にケッと悪態ついた。



でも、それよりも。





「なぁ、稚春っていつ頃来んの?」





稚春が気になる。




床から立ち上がって呑気に雑誌を見ている隼人にソワソワの原因を口にする。




すると雑誌から俺へと隼人の視線がゆっくりと移ってくる。




「(早く教えろ。)」




数秒、隼人が口を閉ざしたまま俺を見てくるからそんな言葉を心の中で呟く。




と、



俺からまた雑誌に視線を戻した隼人がフッと笑った。





「教えねぇ。」




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