赤い狼 壱





「……分かった。」




隼人を睨み付けてドアに向かって歩く。



これ以上、交渉は無意味だ。なら行くしかない。



昨日棗が言っていた情報を思い出してバイクで行くか、歩きで行くか。と二たくを用意する。




その途中、奏が怪訝な顔を俺に向けて




「どこに行くの~?」




とせんべいをムシャムシャと食べながら聞いてきて顔を顰めた。



…食うか喋るかのどっちかにしろよ。落ちてんぞ、床にせんべいのカスが。




「煙草買いに行く。わりぃか?」



「え~、悪いなんて言ってないのに。」



「キモい。喋るな。」



「イライラしてる~。」




自分の唇に人指し指を置いて首を傾げながら喋る奏に舌打ちをするとケラケラと笑う奏。



わざと喋ってると分かっててもイライラする喋り方にもう一度舌打ちを溢して、机にあったせんべいを袋から乱暴に出してそのまま奏の口に突っ込んだ。




マジでムカついてる時にこいつが居るとイライラ度増す。




喋ろうにも喋れなくなって静かになった奏に満足しながら今度こそドアに向かう。




その時、後ろから「連ひでぇな~。」とか言いながら笑っている銀の言葉を聞いて「言ってることとやってることが違ぇんだよ。」と呟いてドアを力任せに閉めた。





< 176 / 299 >

この作品をシェア

pagetop