赤い狼 壱
そんな言葉に構わずに棗はパソコン作業を開始する。
隼人も雑誌鑑賞を開始しだした。
と、なると必然的に教えるのはいつでも目につく、ピンク頭の銀になるのだ。
銀はそのことに荒く舌を打って怪訝な顔を向けている奏に徐に口を開いた。
「ほ~んとに奏ちゃんは分かんねぇのかよ。連は煙草買ってくるとか言ってたけどあれは稚春ちゃんに会いに行くための口実なのよ。
よって、アイツが帰ってくる時は煙草持たずに一人で帰ってくるか、稚春ちゃんと二人で帰ってくるかのどっちかっだってこと。」
「何で帰ってくるパターンが二択あんだよ。」
「分かってねぇなー、奏ちゃんは。連は無類の女嫌い、じゃねぇか。」
チッチッ、と人差し指を左右に揺らしながら「連と言ったらこれじゃねぇの。」言う。
それに奏は「なるほど。」と小さく納得の声をあげた。
「そういう事か。でも何で隼人は稚春のケー番とかメアドは教えなかったのに稚春の所には行かせたんだ?」
また疑問が出た、と肩を少し落とす奏に雑誌鑑賞をしていた隼人が唇の端を右だけ釣り上げて言う。