赤い狼 壱
うぜぇ。
その一言に尽きるな、と意識を張り巡らせながら思う。
なんだってこんなにうるせぇのか分かったもんじゃねぇ。
さっきから見渡す限り女、女、女。いい加減吐き気がしてきた。
「失敗した。」
チッ、と周りの女に聞こえるように舌打ちをする。こんなんになるならバイクで来ればよかった。なんて今さらだけど本当にそう思う。
バイクだとバイクと女の間に距離が少し空くからまだマシになんのに。あー、でもバイクに触られても嫌だしな。歩きとバイク、どっちがよかったんだ?
うーん、頭を悩ませる。だけどそれに「どうかしたの?」問いかけてくる女に「近付くな!」声を荒げたことによって悩む気が失せた。
まだか?
周りにいる女よりもデカイ身長をつま先立ちをしてもっとでかくする。そのまま、周りを見渡すが……まだ来ていないらしい。
もう少し待つか。うぜぇけど。
煩くギャーギャーと騒いでる女を無視して稚春を校門前で待つ。
待つ、と決めたけど女が嫌いな俺にとっては今の時間は苦痛な時間でしかない。
まだか、まだかと早く稚春が来てくれることを願う。
俺の手や背中にはみっともないくらい冷や汗が滲み出ていた。