赤い狼 壱
稚春がパッと顔を上げて、慌てて顔を背けたけどすぐにバレた。
照れてんじゃん。そう言われて否定する俺に、しつこく"照れてる"を連呼する稚春。
長い言い合いの末、俺がくしゃくしゃと髪を掻き乱して。
「…だぁー!!!うるせぇ!」
「ギャー!!離せっ!」
稚春の膝の裏と背中に手を添えて持ち上げた。
それはこの前確か銀がニヤニヤしながら教えてくれたいわゆる"お姫様だっこ"ってやつ。
つーか稚春軽っ。
俺の体を叩きながらぎゃーぎゃー騒ぐ稚春に薄く笑って歩き出す。
俺が稚春を守れるような力がもっとついたら告白、してみよう。と思いながら。
「俺が稚春を守ってやる。」
そう言える日まで。
稚春は誰のモノにもならねぇでくれと願う。
唯一、俺が惚れた女だから。
連side~end~