赤い狼 壱
「走り出したくなるほど恥ずかしいから。」と言葉を溢す私に連は何故か睨んできて声を荒げる。
「あ゙ぁ?重くねぇし。むしろ軽い。恥ずかしいとか知るか。」
「連が恥ずかしくなくても私が恥ずかしいんだってば!!」
「時には我慢が必要だ!」
「ちょ、俺いいこと言った!みたいな顔しないでくれ!!」
大きな声で叫びながら下から睨みつける。くそう。これじゃあ迫力負けじゃないか。上から睨んだ方が勝つに決まってんだろ!
でもまぁ今ビシビシぶつかってきてる視線よりは迫力ないけどね!!………ん?
視線?
――ハッ――
もしかして…、と恐る恐る周りを見渡す。
オワタ。
私の視線の先には隼人たちが固まって驚いた様子で私達を見ていて。
「うぎゃあー!!!」
無意味に叫びたくなった。