赤い狼 壱
:感謝よ、届け
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あれから毎日私は《SINE》に通っている。
…べ、別にこの前棗にあんなこと言われたからって訳じゃないよ?
ただ、《SINE》に居ると心が休まるから。
本当の自分を出すことができる。
自分でも分かる。あそこは私の居場所になってきているってことが。
でも高校を卒業したら私はこの町から離れなくちゃいけない。
それが"あの人"との約束だから。
だから本当は《SINE》の皆ともあまり関わりたくない。
だって、絶対心配かけるでしょ?
みんな優しいから。
数日間しか会ってない私を仲間として受け入れてくれる皆のことだから、私が居なくなったらきっと心配する。