赤い狼 壱
それに最近《SINE》で皆と過ごして分かったこと。
それは私が《SINE》に居るときは絶対に誰か一人は私の傍に居るってこと。
暴れている他の族の下っぱさんを片付けにいくときも集会があるときも、暴れている人達が居ないか見回りに行くときも。
いつも誰かが私の傍に居てくれている。
皆は気付いているのだろう。
私が一番嫌なのは一人になることだってことを。
だから誰かが傍にいつも付いててくれてるんだろう。本当に皆は優しい。
何か私にできることはないかな…。
でもこの前「何かお礼をしたい」って言ったら皆に「稚春は俺らの傍に居るだけでいい。」って言われたんだけど…
やっぱり、お礼はしたいじゃんね?
だってお世話になってるんだもん。
あ、そういえば奏と連が昨日お菓子の取り合いしてたな。
煎餅がなんとかって言ってたけど煎餅は作れないから違うの作ろうかな。
よし、決めた!クッキー焼いて持って行こう!
そうと決まったら買い出しだっ!
財布とケータイと鍵と。
「行ってきまーす!」