赤い狼 壱




「よし、お前はもう確保した。ウホホホ、今から署に連れていくウホ。」



「もうそれ飽きた。」




まだゴリラネタをやっている運転席に座っている男の人は休日の日と帰りはいつも私の送り迎えしてくれてる運転手の茂さん。


この人、見た目はゴツくて恐いんだけど意外と面白くて、とってもいい人なんだ。



「ウホウホホホホ。」



………チョットお馬鹿なところもあるんだけどね。




「茂さん、いつもごめんね。送り迎えさせちゃって。」



「ん?いいんだよ。それに毎日稚春ちゃんと話せるしな。」



ほら、そうやって笑う茂さんは優しい。




「私と話しても楽しくないんじゃないですか?」



「何言ってんだ稚春ちゃん。今までの女の子の中で一番楽しいよ。だいたい俺に話し掛けてくれる女の子なんて稚春ちゃんが初めてだよ。」



「じゃあ今までの女の子の中で茂さんを一番よく知っているのは私ですねっ!」



それってなんだか嬉しいな。特別みたいで!



ウキウキしながら言うと茂さんがクスリと笑って私の頭を撫でる。あれ、なんかおかしいこと言ったかな?



「そうやって無邪気に笑いかけてくれるのが俺は嬉しいよ…。」



「………っ、」



う、わ。
今のはいけない。


目を細めて笑った茂さんに目をうろつかせる。ちょ、直視したら確実にやられる!悩殺される!!



「なーに?緊張してるの?稚春ちゃん。」



「や、違うんですけど…、」



「じゃあ何……?」



ゆるゆる。

私の頭の上にあった茂さんの手が頬に移る。



それで更に目をうろつかせる私の頬を茂さんがスルリとひと撫でした。




「………チューしたく、なっちゃった?」





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