赤い狼 壱






それにしても。


今日はやけに見てくるな。なんかしたっけ?


はて。隼人の機嫌が悪くなるようなことはしてないと思うけど。………って、忘れてた!!もしかしてもしかして!



「稚春。」


「な、何?」



この前、机の上にあった誰のか分からないプリンとショートケーキが置いてあったの食べたのバレた!?


どうしよう!!



じろり。睨むように見てくる隼人に少しだけ退く私。
まるで蛇に睨まれた蛙そのもの。


と。



――グイッ――




「うぇええええ!!」



私の腕を引っ張ってきて、更に肩をグイッと引き寄せられた。ちょ、そんなに怒ってんすか!?そんなにプリンとショートケーキ食べたかったの!?

隼人って意外と食に貪欲だったんだと思いながら安易に机の上のデザートを食べたことを後悔する。すると、隼人は怪訝な顔をしながら



「うぇええええって…お前ほんっとに色気ねぇな。」



呆れたと言わんばかりのため息をついた。




な ん だ っ て ?



今のは聞き捨てならんぞ!!どーいことだ!私は確かに色気の"い"の字もないかもしれないけど今のは隼人が急に引っ張ってきたりするから!だから!



「キィー!!!色気ないってムカつ「行くぞ。」人の話を聞けええええー!!」




叫びながら隼人のバカ力でずるずると二階へと引きずられる光景はさぞかし滑稽だっただろう。隼人、殺っ!!




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