赤い狼 壱
「もうなんか茂さんって次元が違う気がする。」
「なんの話?」
「茂さんから光が出てくる話。」
「はぁ?」
「だーかーらー「稚春に触るなぁー!!!!」」
茂さんから素敵オーラが溢れ出てくるの!そう説明しようとした私の言葉は男にしては少し高い声によって掻き消された。と同時に茂さんと私の間に割り込まれた大きな体。その声の主は私にいつもなついてきている可愛い連で。
「茂、俺の稚春に触るなよ!」
そう言いながら私の体に腕を回してくる連はいつもの可愛い顔を少しだけ歪めている。
その光景に「ちょっと…、頭撫でただけじゃん。」そういうの良くないよと注意を下す。
「だって…、触れてほしくねぇんだもん。俺以外のやつに!!」
膨らました頬をしゅしゅしゅしゅ、と縮めて拗ねたような口調で私を見つめてくる連にボボボッ!と顔が熱くなった。
な、なんてこと言うのよこの子!!天然!?天然でこんなこと言っちゃうの!?私の心臓がもたないって!!
頭の中がパニックだ。これは喜んでいいものなんだろうけど私には刺激が強すぎる。だって頭がクラクラするし。私は免疫がないんだって。
連の可愛い嫉妬の言葉に思わずやられそうになるけど、そこをなんとか耐える。でも結局、絶妙なタイミングで色気パワーを発揮した茂さんに腰を抜かすことになるのだけれど。
「稚春ちゃん、こっちにおいで。」
ふと、優しい声が私を手招きして茂さんになんの抵抗もなく近付く。それがきっと、いけなかった。
するり。茂さんに近付いた私の腰をやんわりと掴んできた茂さん。それに若干の動揺を浮かべた。
と、
――チュッ――
頬に柔らかい物体が宛がれた。