赤い狼 壱






「え、ちょっ!全部持ってもらうなんて悪いよ!少しは自分で持つ!」




隼人の手から袋を取ろうとするけど隼人はヒョイッと避ける。





「俺が持つっつってんだろ。」



「え、でも「稚春、ここは隼人に持たせた方がぃぃよ。隼人、多分稚春に気を使ってるんだろうから。」」




それでも持つと言おうとしていたら後ろから棗が私に近付いてきて耳打ちをしてきた。







気を使ってる?






何で?





「何で?気を使うところなんてあったっけ?」




棗に疑問を投げ掛ける。




「それは…稚春からクッキーを貰ったのが嬉しかったんじゃないのかな。」




棗はニッコリと笑う。




「…二枚しか入って無いのに?」



「二枚でも嬉しかったんだよ。…俺も嬉しかったし…。さっき一枚食べたよ。美味しかった。ありがとね。」




棗はさっきとは違う感じでニコッと笑う。









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