赤い狼 壱
一階に着くと隼人は
「やっと来たか。」
と待ちくたびれた様子で私に半分、袋を渡してきた。
…私、そんなに待たした記憶無いんですけど…。
そんな事を思いながら隼人から袋を受け取る。
すると隼人は
「稚春が日頃のお礼にクッキー焼いて来たらしい。お前等、並べ。」
と大きな声で皆に言った。
…いや…並べって…。
何か、おかしくないですか?
皆、こんなんじゃ受け取るの嫌がるんじゃ…。
そう思いながら周りを見渡すと…
皆、ちゃんと並んでいた。
…並ぶのかい!
半ば呆れながら並んでる人達に一人一人、お礼を言いながらクッキーを渡す。
…二枚しか入ってないけどね…。
雷太に渡す時、クッキーが二枚しか入ってない事を言ったら
「えぇええぇえぇ!二枚しか入ってないんスか?残念~。稚春さんの手作りクッキー……もっと欲しかった…。」
と残念がられた。