赤い狼 壱
「茂さん、いつもありがとうございます。これ…どうぞ。」
稚春はいつもみたいに飴玉を一つ、俺に差し出す。
…多分、稚春は送ってくれた俺にお礼としてくれてるんだろうが…
別に堂々としとけばぃぃと俺は思う。
だって、あの《SINE》の総長に気に入られてんだぞ?
なのに、稚春はでかい顔を一つもしない。
しかも、運転手の俺に礼を言うなんて…
変わってる。
疑問に思っていた俺はいつものように稚春を家まで着いた時、少し稚春に意地悪な質問をしてみた。
「なぁ、隼人達が《SINE》のメンバーだから毎日《SINE》に来てるのか?」
稚春の方をジッと見て視線を外さず稚春の答えを待つ。