赤い狼 壱
すると稚春は
「え?茂さん、そんな事思って無いですよ?最初は…そりゃぁ強引に連れてこられてビックリしましたけど。
皆ぃぃ人達だし…何より、あの場所に居ると心が落ち着くんです。
皆は…落ち着いているかは分からないけど…。」
と少し顔を赤くしながら俯いた。
「何で赤くなるんだ。」
そう言いながら稚春の顔を見る。
「やっ、茂さん、見ないで下さい。慣れない事言って今、恥ずかしいんですから。」
俺はこの時、思った。
うん。
間違いなく、この女だ。
荒れていたあいつ等を変えてくれたのは間違いなく、稚春だ。
多分…
見た目や地位なんかで判断しない、中身をちゃんと見てくれる稚春にあいつ等は今、変えられてんだな。
そう思った。