赤い狼 壱
「で、何なのあんた!何者っ!?」
赤髪男の原動にムカついて少し興奮気味に尋ねる。
すると、明らかに眉間に皺を寄せた赤髪男がチッ、と舌打ちを溢した。
舌打ち、私がしたいんですけど。
イライラしながら赤髪男を見れば睨み返される。ムカつく。
「ギャンギャンうるせぇな。つーか俺、言ってなかったか?」
「名前なんて言ってない。」
「そうだったっか?まぁいい。俺は大狼隼人。お前は?」
相変わらずかったるそうな表情で私を真っ直ぐ見つめてくる赤髪男。
そんなに見つめてこないでよ…。
赤髪男の切れ長な目が私を見つめる。
恥ずかしくなって赤髪男から目を逸らした。
「…白兎稚春。」
赤髪男に聞こえるか聞こえないかの曖昧な声量で答える。
男の人に見つめられるのってこんなにドキドキするものなの?
心音が少しだけ、激しい。
何ドキドキしてるの、と気持ちを落ち着かせていたら赤髪男は分かっているのかいないのか。
「稚春か。いい名前だな。」
ふわり、と。
優しく笑った。