赤い狼 壱








…あ。





忘れてた。ずっと抱きついたままだった。




「ご、ごめんね。棗がぃぃ匂いしてたから思わずガン嗅ぎしちゃった…。」







棗にずっと抱きついているのに今頃気付いて慌てて棗から体を離す。









でも、ぃぃ匂いだったんだもん。






しょうがないじゃんね?






そう思いながら棗の顔を見ると…―――――











「どうしたの?棗、顔が真っ赤だよ?」










ゆでダコみたいに真っ赤だった。








「棗、もしかして熱でもある?」




心配になって棗の額に手を置く。







すると、棗は




「や。何でも無いから、あの…俺から離れて下さい。」




と何故か敬語で言ってきた。










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