赤い狼 壱
というか結構気に入ってた呼び名だったのに残念だ。
「えー!?赤髪男、一番いい呼び方だと思ったのに…。」
だから、思ってた事をそのまま口に出す。
「…いや、良くないだろ。」
でも隼人は、本当に嫌みたいで真顔でツッコミを入れてきた。
そこまで嫌がるか。
「そ、そんなに嫌なら止めてあげなくもないけど。」
「何で上からなんだ。もういい。お前、さっさと中に入れ。」
私の偉そうな態度に隼人は少しイラッときたのか喋った後にチッ、と短く舌打ちをした。
今思ったけど隼人って舌打ちばっかりしてるよね。
何でかなぁ、なんて思いながら、私の腕を強く掴んで建物の中に引きずり込む隼人に無理やり歩かされる。
ちょっと。足がもつれて上手く歩けないじゃない。
ズルズル引きずらないでよ。