赤い狼 壱
「ちょっ、隼人止めてっ!」
「俺、止めろって言われると余計にしたくなんだよな。」
――…っ!?
悪魔だっ!こいつ、悪魔だっ!!
ニヤリ、と笑って私を見てきた隼人にあり得ない、とパクパクと口を開け閉めする。
「ドS!鬼畜!馬鹿!ハゲ!」
「ハゲは関係ねぇだろ。」
「離せーー!!!」
掴まれている腕を体ごと横に振ってなんとかして隼人から逃げようとする。
でも、隼人はそんな抵抗をする私を右の口角を緩やかに上げながら余裕の表情で見てきて。
~~~~っ!!
馬鹿力っ!!!
結局、悔しい思いをしただけだった。
そして、私はこの大きい建物の中に何があるかも知らずに危険地帯に…
引きずられていった。
これが、私のこれからの運命を大きく変える事になるとは知らずに―――。