赤い狼 壱
「えっ!?隼人っ!ちょっと、待っ、」
隼人にまだ腕を掴まれている私は、まだ引きずられながら隼人に続いてその人達の開けた道を通る。
ちょちょちょ、両側から迫力が!!
カラフルに囲まれて息が!
不良のど真ん中を歩く、というあり得ない状況にテンパってて息がしずらい。
あぷあぷと私が必死で息をしている間にも、頭を下げている人達は、隼人が目の前を通ると顔を上げて
「隼人さん!ちわっす!!」
と笑って元気な挨拶をしてまた頭を下げるを繰り返している。
その異様な光景を見て私は悟った。
コイツ、ただ者じゃねぇ。
隼人が何者なのかと頭をグルグルと回転させる。
どうしよう。めちゃくちゃ喧嘩吹っ掛けた後だし、飲み物もぶつかった拍子にぶっかけちゃった後だけどどうしよう。
極悪非道な方だったらどうしよう―――!
そんな事をあわあわと考えていると、ソフトモヒカンで緑色の髪の色をした一人の男が隼人に話し掛けた。
ニコニコといい表情。
「もしかしてその女、隼人さんの彼女っスかっ!?」