赤い狼 壱
「………はっ?」
馬鹿じゃないの、って今度こそ思った。こいつ何、俺の女発言しちゃってるんですかっ!
身に覚えがない事を言われて過激反応を起こす。
でもこんな状況にだったら私の反応が正しいと思う。
「隼人の女じゃないしっ!ただ勝手に隼人が此処に連れて来ただけでしょーが!何を勝手に私の彼氏面してるの!
塚、私のこの顔で隼人の彼女ってあり得ないでしょーが!」
一気にまくし立てて話す。
言わせておけばズカズカと私は隼人のもの、みたいな言い方して…。
馬鹿か!!
ガルルルと獣が敵に威嚇するかのように睨みつける。
「あ゛?俺が稚春の事彼女って言ってんだ。稚春は俺の女だ。つべこべ言わず着いて来い。」
でも、そんなのを全くお構いなしで、むしろ興味ないという感じで隼人は私の腕をまた引っ張り始めた。
…こいつ、どんだけ俺様なんだっ!!
またズルズルと容赦なく引きずられながら、前を歩く隼人を睨みつける。
その様子を見ていた緑モヒカン男は
「隼人さん!やっぱりその人、隼人さんの彼女なんすねっ!」
と隼人の横に来て目を輝かす。