赤い狼 壱
そして、そのまま引きずられるまま人気の無さそうな二階に繋がる階段を上がっていく。
さっきまで元気よく挨拶していた不良ちゃん達も、階段付近には全く居ない。
どうしてだろう?
不思議だ、と首を傾げる。
でも、それはこの後聞こえてくる音によって妨げられた。
――ダンダンッ――
階段を大きな音をたてながら隼人が登る。
もっと静かに登れないのか、と顔を顰めたけどそれに隼人が気付くわけもなく。
バンッと壊れるんじゃないかって感じで開けられた扉の向こうの景色に、唖然とした。
へ、部屋じゃん。
中に入って黒で統一された部屋を見渡す。
黒色の大きな机を囲んだ真っ黒なソファー。
これサイズどんだけ大きいんだよ、とツッコミたくなるテレビに、何故かキッチンとかもある。
パソコンとかも置いてあって。
もう、どこからどう見ても住める。
隼人は部屋に入るなり、光沢が一番ある一人用のソファーに偉そうに腰を掛ける。
そしてそのまま、携帯を弄りだした。
私、どうすればいいの?
普通、私に一言でも声を掛けるべきであろう隼人が携帯を熱心に相手してるから戸惑う。
薄情な奴。