赤い狼 壱





気まずさを紛らわそうと視線をさ迷わせていると、黒髪くんのオーラがどす黒いものになっている事に気付いた。



一番まともな髪の色してるのにこれじゃあ近付けないじゃんか。




あーあ。と残念がる私の視線の先は黒髪くんの手に握られているテレビゲームのコントローラー。



黒髪くんはピコピコピコピコ、テレビゲームに夢中。


あぁー。私もしたいよ。




黒髪くんがしているゲームを羨望の眼差しで見つめる。




だってさ、会話もないし私をここに連れて来た張本人はさっきから携帯カチカチ弄ってるし、暇だし。


携帯閉じたかと思ったら次は雑誌を無言で見てるしー。



くるくる。自分の腰くらいまである長い髪の毛先を人差し指に巻く。



なんなんだ。本当に。耐えきれないんだけど。




あまりの暇に徐々に据わっていく目を細める。



すると




「アイツ等ナメてんのか。」




チッ、と二メートルくらい離れている私にまで聞こえるような舌打ちをついて、隼人は低い声でそう呟いた。




急に何事?


低すぎる隼人の声にビビりながらも首を傾げて隼人の様子を窺う私に、隼人は視線を向ける。




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