赤い狼 壱





「………。」




初めて口を開いたかと思ったらムカつく態度で腹がたった。



ガッペむかつくぜ。


塚、ここの連中が腹立つ奴ばっかりだ。物凄くキレたい。でもここでキレたらコイツと同じになるからキレるのは我慢してやるけれども。




ムカつくムカつく、と頭の中でこの目の前に居る生意気黒髪くんを私の得意なアッパーでぶっ倒す。


でも、そんな事を頭の中でしながら外では大人な余裕を見せてやった。




「ごめんね?」




にこりと笑う。これぞ、私の必殺技、マダムsmileよ。見たかこの野郎。




「キショ……。」




自信満々な私の心に、黒髪くんが刃物を突き刺した。さすがの私も黒髪くんの言葉には、キた。




「馬鹿にしてたら痛い目見るわよ!」



「…っ!?」




もうキレた。ムカつくムカつく。大体、何で私はここに来てんのよ。



色んな怒りが黒髪くんに全部、吐き出された。私が叫ぶと同時に黒髪くんが目を見開いて肩を揺らす。


でも黒髪くんが目を見開くよりも前に、自分が目を見開く。



驚いた。"初めて"キレた。




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