赤い狼 壱
多分、それがいけなかった。
盛大についたため息は勿論、私を取り囲んだ三人の男にちゃんと聞こえたらしく…
「てめぇ、ナメてんのかぁ?」
「…っ、」
私の胸ぐらを容赦なく掴んできた。
少しだけ頭が痛む。
私の胸ぐらを掴んでいる男のこめかみ辺りの血管がピキピキと音を立てて浮かんでいる。
これは相当、キレている。
「常識がなってねぇ子猫ちゃんにはオシオキしねぇとなぁ?」
「ギャハハハハ!」
「やっちまえ!」
ヤバい。
そう思った時にはもう遅かった。
両脇に居た男二人が私を取り押さえ、目の前の男が大きく拳を振りかざす。
やられる!
反射的に、目を瞑ったその時だった。