赤い狼 壱
と、いうか…さっきから、後ろからの視線が痛いんですけど。
チクチクどころじゃなく、ドスドスと刺さってくる後ろからの視線に気になり、連に押し倒された状態で顔を視線が感じる方に向ける。
すると、そこにはマヌケな顔をして口をポカンと開けた隼人が居た。
その周りには呆然と立ち尽くす三人の男達。
全員のその目線は間違いなく私達に向けられている。
どうしようか、と悩んだ末、私は取り敢えず
「あ。どうも。」
隼人達にお辞儀をしておいた。
まぁ、これが妥当でしょ。やっぱり最初が基本よね。
うんうん。と一人で納得する。
「…おい。連って、女嫌いじゃなかったか…?」
「…つーか、連が押し倒してる。」
「女と話してて笑顔じゃねぇか。」
「コイツ、本当に連~?」
そんな私と、まだすりすりと私と連の頬を擦り付けている連を見て驚愕の眼差しを向ける隼人たち。
でも次の瞬間、驚いていたかと思ったらゲラゲラと壊れたように笑いだした。
恐い。
そんな事を感じながら。
何が何だか分からないけど、取り敢えず私に相変わらず引っ付いている連の頭をよしよしと撫でた。