赤い狼 壱
世の中には変わった単語があるもんだな、と思いながら辺りを見渡す。
たぶん、もう一人居たと思うんだけど…。
キョロキョロと視線を周りに散らばす。
その間に無言でソファーに座っている隼人がずっとこっちを鋭い目付きで見てきているのが目に入った。
明らかにご機嫌ななめだ。何でだろう。
頭にハテナマークを浮かべながらも暫くそのまま隼人と見つめ合う。
でも、隼人の視線に耐えきれなくなった。目が鋭すぎる。
「何?」
睨む理由は何?ともう一度補助を付け足して首を傾げる。
すると、隼人は私を指差してきた。
「それ。」
「それ?」
何が、と隼人の指の先を辿る。
そこで辿り着いた先には
「…連?」
私にベッタリと後ろから引っ付いてきている連だった。
連がどうした?
何か問題でもあるっけ?とますます分からなくなった。隼人は何に怒ってるんだ。
隼人が指している人が分かっても疑問が増えただけの私に隼人は呆れたような顔をする。
そして
「連。お前、早く稚春から離れろ。目障りだ。」
低い声で唸った。