赤い狼 壱





な、何が…?




皆が私を満面の笑みで見てくるから思わず後退ずさりをする。


なんか皆、さっきから変だよ。笑ったりビックリしたり。百面相大会でもしてるの?



じゃあ私も何か面白い芸しないと!


何をしようか…、と私ができる芸を考えていると隼人がとんでもない事を言い出した。





「稚春、やっぱりお前は俺の彼女になれ。」





はい?何ですと?




「空耳?」



「お前、ねじるぞ。俺の女になれっつってんだ。」




できれば聞こえなかった事にしたかったのか、自分でも気付かない内に口が勝手に反応していた。



塚、ねじるって…。ねじ………うん。隼人だったらやりそうだ。




「だから、隼人の彼女にはならないって言ったじゃんっ!」



「いや、もう決まった。」



「はぁっ!?勝手に「駄目だぞ!稚春は俺のもんだ!」」




勝手に決めるな!そう言おうと思ったら連の声に遮られて言えなかった。



皆、私の声遮るよね。趣味か?流行か?どっちにしたってタチ悪いわ!




塚、いつ私が連の物になりました?なってない。断じてなってないよ、連くん。




ブンブンと頭を横に振る。



これが今の私にできる最低限の抵抗だ。





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