赤い狼 壱





「…行ってみるか。」




ソファーに放り投げていた財布を取って《SINE》から近いカラオケに行く準備をする。




「え~?じゃあ俺も行きた~い!」




そんな俺を奏が目を輝かせて見てくる。



行きてぇのか?ぜってぇ行かせねぇし。




「駄目。お前が居ると隼人のイライラが増すから。」




棗がカタカタと手元から音を立たせながら奏に苦笑いを浮かべる。


おぉ、さすが棗。よく解ってんじゃねぇか。




「マジかよ~。今日暇だから久し振りにここに来たのに~。ここに来ても暇ってどういう事~?」



「そんなに暇なら溜まってるお前の仕事をしろっ!!」



「それだけは嫌だな、俺はよ。そんな事してる暇があったら未来ちゃんと遊びに行った方がマシじゃねぇか~。」



「何だって~?俺、聞こえなかった~。」




ニシシと銀と奏が笑いながら顔を見合わせる。




あ。俺そろそろこの部屋出よう。




< 69 / 299 >

この作品をシェア

pagetop