赤い狼 壱
暫くその状態で女が俺の手をとく様子を見る。
でもあまりにも必死にとこうとするからこっちが我慢できなくなった。
いちいち行動が可愛いすぎんだよ。
「キャア!」
見るだけ、は我慢できなくなって女を肩に担ぐ。
よし、連れてくか。
「は、離しなさいよぉぉぉぉ!!」
肩に担がれてる女がジタバタと暴れて抵抗を示す。
いてっ、
お前、背中蹴ることねぇだろうか!
痛ぇな、と顔を歪ませる。ローファーの先が背骨にヒットした。マジで容赦ねぇな。
そのあとも暫くじたばたと蹴ったり殴ったり、叫んだりで騒がしかったが途中で諦めたのか大人しくなった。
やっと大人しくする気になったか。これでやっとちゃんと歩ける。
ふう、と小さく息を吐き出す。
実はさっきから少ししんどかった。よろよろなりすぎてまともに歩けやしねぇ。
本当に暴れられると困る、と眉をひそめる。
アイツら全員呼ぶか。
「喜ぶぞ。特に銀が。」
触らせねぇけどな、と一人言を呟きながら《SINE》への道のりをひたすら歩いた。