赤い狼 壱
暫くして
――ズシッ――
「―――!?」
さっきまで軽かった肩が急に重たくなった。
簡単に予想ができて焦る。
おいおい待てよ。冗談じゃねぇ。こっちはもう体力残ってねぇんだよ。ヘトヘトなんだよ。分かってんのか、おい。
まさか、と思いながらゆっくりと女の顔を覗き込む。
「マジかよ。」
寝ていやがった。
「勘弁してくれ。」
息を長く吐き出す。
どうやったら肩に担がれたまんま寝れんだよ。お前どんだけ神経図太いんだ。
半ば拉致だぞ?と気持ちよさそうに寝ている女に話しかける。
つーかこれ、端から見たら変人だな。喋りかけるのは止めるか。
無言でひたすら《SINE》へと足を進める。つーか何で俺はこんなに頑張ってんだよ。車呼べば良かった話だったんじゃねぇのか?
って、車の存在忘れてた。
《SINE》まであともう少しというところで車の存在に気付いた。
畜生!しくった!