赤い狼 壱





ひょぇええ!!恐いぃい!




鬼のような顔がいきなり近付いてきて思わず後退る。



く、食われる。




「はいはい、そこまで。止め止め。隼人、稚春は天然なんだから落ち着け。」




少し眉を下げながら近すぎる私と隼人の間に腕を無理やり入れてきた棗。


ナ、ナイス!助かりました!紳士!ジェントルマン!って意味一緒だ。




ニコニコと笑う棗を見ながら拍手を贈る。棗、最高。



塚、棗の仲裁がなかったら確実に私は明日にはこの世界に居なかったよ。何故なら隼人に殺されていただろうから。



さっきまで危うかった命が助かってホッと胸を撫で下ろす。




棗の天然って台詞が少し気になったけど。まぁ、許してやろう。




「あ。そういえば普通、俺達はこの部屋で総長も含めて過ごしてる事が多いんだ。


まぁ最近は色々あって集まりが悪かったんだけどね?」




ポンッと掌に拳を軽く押し付けた後、急に棗が語りだした。


何だ何だ?それが、どうかしたのかな?



不思議に思いながらも大人しく棗の話に耳を傾ける。




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