赤い狼 壱





ギロリ、私も隼人に負けないくらいの睨みを隼人に向ける。



でもそんな私を見て隼人は




「ハッ、馬ー鹿。」




一言、暴言を吐いて鼻で笑った。




カッチーン。はいキた。もう駄目だよ。抑えられない。今度こそは!




その場にスクッと立ち上がる。やってられるかこの野郎。




「もう帰る!」



「はぁ?冗談…っておい!待て!稚春!!」




嘘だろうと思っていたのか余裕な笑みを見せていた隼人が、本当に帰る私に焦って声をかけてくる。



知らない。今更、知らない!




「ムカつく!!」




部屋を出ていく前に、大きな声でそう叫んで舌を出す。



そのまま力任せにドアを閉めて一階へと早足で歩いた。




でも、一階まで降りたけどやっぱり不良さん一色で。


ちょっと怖じ気づいた。


ね、根はいい人なんだろうけど…。


やっぱりあの不良さん達の中を堂々と通る度胸と図太い神経なんてあいにく私は持っていない私には、通れない。



でもここを通らないと帰れないし…。




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