赤い狼 壱





「お、送る…?」



「あぁ、送る。」




戸惑いを隠せない私の手を強引に引っ張って私の前を歩く隼人。



ちょ、ちょっと。私は送ってなんて一言も言ってないんですけど。塚、送るって何。何を企んでるのよ隼人。




さっきまで意地悪だった隼人を思い返す。


うん、やっぱり意地悪なのが隼人だ。今の隼人は優しすぎる。塚、隼人は優しくない。



よって今、私の目の前を歩いている隼人は本物の隼人じゃないと私は推理した!




隼人の背中にビシッと人差し指を向ける。さぁ、白状しなさい!正体隠すんだったらカツ丼食べさして吐かすわよ!




「今お前、乗りたくねぇとか思ったろ。俺が送るって言ってんだ、素直に送られろ。


ちゃんと安全運転してやる……って何してんだ。」



「さぁ吐きなさい!!」



「お前、一回病院行った方がいいんじゃねぇ?」



「失礼な!正常です!!」




優しい顔をして私の方に振り向いた隼人の顔が一気に険しくなった。


そんなに私の頭が心配か!?こう見えても頭は結構いいんだぞ。



足を止めて私の額に手を当ててくる隼人に眉を寄せる。



本気で心配しないでよ。虚しくなるじゃない。




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