天使と悪魔のLOVEGAME【完結】


大きい水槽の中では魚が悠々と泳いでいる


俺とは比べ物にならないくらい自由で羨ましい…


ホテルについて早々に挨拶やらで時間をとられた


跡継ぎだという自覚はあるつもりだし、今更その義務を放棄するつもりもないが時々煩わしくなる


あいつらに声を大にして言ってやりたい


“お前たちの将来を握っている東城匡人は最低なやつだ”


薄暗い館内と仄かに光る水槽


ふとガラスの中の自分と眼があった


なさけねえな…


凪の心の中に入り込みたくて足掻いている自分の姿は滑稽だった


綺麗な世界に行きたかった―…


誰かを純粋に想える温かいところに行きたかった


ドロドロと欲望だけが渦巻いている世界から逃げ出したかった


誰かに…


そっちの世界にいる人間に愛されれば行けると思ったんだ―…


だけど…


凪の…

凪の真っ直ぐな眼が俺を見つめることなんてなかった


それはこれから先も誰からも愛を向けられることがないことを暗示しているようだった


俺なんかが人並みに誰かに愛されるわけない…


自分のエゴばかりを押し付けてる、こんな俺は最低だ




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