クイヌキヤ
奥の部屋には古い机と向かい合った椅子が2つだけあった。

水晶玉やカードの類は見当たらない。


どうやって占うのだろうと不思議に思っていると、

老婆は向こう側の椅子に腰掛け、

もう一つの椅子に座るように彼に促した。


彼は椅子に座った。


「それじゃあ始めようかね。あんた相当悩んでおるな」


しょうもない・・・


と彼は思った。


ほとんどの人間が何らかの悩みをかかえているに決まっている。


第一、悩みの一つもない人間が占いに来るだろうか。


彼は急にしらけてしまったが、老婆の次の言葉にはっとする。
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