もし


「瑞希!俺のこと覚えててくれたん!!??」



抱き締めたまま、あたしの背中に顔を埋めている男子が嬉しそうに言う。



こんな手、振りほどこうと思えばいくらでも振りほどけるのに。



そうしたくない。



「やっぱりてっちゃんなの!?忘れるわけないじゃん!」



すっごく懐かしくて鼻がツーンとして。



……いとおしい。



てっちゃんの手がやっとあたしから離れて、久しぶりのてっちゃんが目の前にいる。



黒髪の短髪を前髪からブワー立てて、ダークブルーの小さくておしゃれなピアスなんかしちゃってる。



でもくしゃっと恥ずかしそうに笑うかわいい笑顔は、小さい頃のままなんにも変わってない。



………イケメン………。




てっちゃんって、こんなかっこよかった……!!??




二重の目と鼻筋が綺麗に通った鼻。下に下がり気味の唇。


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