桜の木の下で
「理由は2つあるの。1つはあなたの霊力が強すぎるから。強すぎる霊力は無自覚だと強い魔を呼んでしまうからよ。2つ目はまだ目覚めさせる時ではなかったからよ。」

「目覚めさせる時?」

「そう。あなたはまずどうして霊力が必要なの?普通に巫女としてなら16歳で目覚める桜乙女の力だけで十分だと思うけど。」

「あの、私刹那を連れ戻したいんです!」

「刹那?」

刹那と言う言葉に切なそうな顔をする百合さん。
3000年たったいまも刹那の事好きなのね。

「はい。」

私は今までの事を百合さんに説明した。

「そうだったの・・・仙樹さんは昔から刹那の傍にいたわ。まだあきらめてなかったのね。」

百合さんの顔が曇った。

「でもどうして刹那じゃなきゃだめなの?他にも男性他沢山いるわよ?」

百合さんは私をまっすぐ見つめて聞いてきた。

私は、私は――――

「正直刹那とは逢ったばかりで、刹那がどういう人?アヤカシ?かと言うのはわかりません。だけど、だけど私初めて刹那に恋をして苦しさや嬉しさをしったんです。だから、だから・・・。」

「そう。それがあなたの答え。」

百合さんがそう呟くと私の全身がピンクの
光に包まれた。

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