桜の木の下で
「え?」

気が付いたら目の前に小さな女の子がいた。

「あなたが今世の桜乙女?」

「ええ。」

不思議な霊気をまとった少女。

「あなたはなぜ狐の世界なんかに行きたいの?」

にこりと愛らしい微笑みを浮かべて無邪気に聞いてくる。

「大切な人がいるから。」

「大切な人?」

「うん。その人がいなきゃ私だめなんだ。」

「どうして?」
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