桜の木の下で
「その人と共に生きたいから。その人がいれば私強くなれるの。」

私は迷いなく答えた。

「でも彼は人間ではないでしょう?」

大人びた微笑みでまた話しかけてくる少女。

「人間とか狐とか関係あるのかな?」

「え?」

驚いたように瞳を丸くする少女。

「恋をするのに理由なんかないわ。好きだから好きなの。だから彼が人間でなくても私には関係ないの。だって刹那は刹那だから!」

素直な気持ちを口にしてみた。
ああ、私こういう風に彼を、刹那を思っていたのね。

「そう。」

「うん。あなたは誰?」

「私は桜。」

「桜?」
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