桜の木の下で
「ええ。桜の木の精よ。」

「えっ?」

「流石私の選んだ聖なる乙女ね。」

優しい微笑みをこちらに向ける桜。

「どういうこと?」

「あなたなら刹那を救えると思ったから。」

「刹那を知っているの?」

「ええ。彼の小さい頃からそばにいたから。」

「そうなんだ・・・。」

「彼は優しくて繊細な人よ。だからあなたみたいな人が必要なの。」

「え?」

「私はいつもあなたと彼を見守っているわ。彼をよろしくね。」

そう呟くとまた強い風が吹いた。

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