くまの子ロッティー
「俺のために一番大事な物を差し出してくれて、ありがとう」
「さっきのことね」
「すごく、うれしかった!」
「そう」
「俺のためにそこまでやってくれたのは、ロッティーが初めて……」
「だって放って置けなかったもの」
「――友だち。ロッティーは俺の友だち!」
そう叫んで、手をにぎったら、おもわずロッティーも。
「うん、チャムは友だち!」
二匹で「わははっ」と大きな声で笑った。

「ロッティー、君のことは忘れない」
チャムは手をふって、ムーンウインドの森へ帰ろうとしました。
「チャム待って! ムーンウインドの森に友だちはいるの?」
その質問に地面を見つめて、チャムは首を振った。
きっと友だちのいないチャムは寂しくて……。
ウソつきに戻ってしまいそうで、ロッティーは心配です。

「ねぇ、わたしと一緒にムーンライトの森へくる?」
その言葉にパッとチャムの顔が明るくなった。
「お、俺が行ってもいいのか?」
「ええ、だけど約束してほしいことがあるの」

チャムは、三つの約束をさせられました。

 ひとつ、ウソをつかない。
 ふたつ、人の物を盗まない。
 みっつ、みんなと仲よくする。

「分かった! 約束するよ」
「ホント?」
「うん。ウソつかない、盗まない、みんなと仲よくする」
「ちゃんと守れる?」
「絶対に守る!」
「じゃあ、ずっと友だちだよ」
「友だちだぁー!」
二匹は手をつないで、荒れ地を歩いて行きました。

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