涙色の感情
「あっ、石井さんだぁ」
また、宮坂さんに声をかけられる。
「こんにちは」
「ねぇねぇ、見た?龍輝」
宮坂さんは、また私の隣に座り頬を赤らめて言った。
「えぇっと、見てない」
「そー、残念。見ておいてね。恋を実らせるんだから--------あっー、あの人よ、石井さん、見て。龍輝ーー」
石井さんは、篠本くんとやらを見つけてらしく私の腕を激しく揺らす。
宮坂さんに名前を呼ばれた、篠本くんは私達が座っているベンチの方へ笑顔で向かって来
た。
「やばい、やばい。凄い、かっこいんだけど」
私の耳元でそう訴える、宮坂さん。
…はぁー。
私は、篠本くんと顔を合わせないように、お弁当を食べていた。